ターナー 風景の詩 2018ターナー展 京都文化博物館
今日は、京都文化博物館(京都市中京区 最寄り地下鉄烏丸御池)で開催中の「ターナー 風景の詩」展に行きました。
感想をお伝えする前に、ターナーという画家について、その人を知ってもらいたいので少し前置きを書きますね。
ジョゼフ・マロード・ウイリアム・ターナー(1775-1851)は、イギリスの最も偉大な画家の一人です。どれくらい偉大かというと、2020年から刷新する20ポンド紙幣の肖像に選ばれたくらいです。
紙幣では、結構男前ですね。ちなみに、右下は、アランが描いたターナーの肖像画です。今回の紙幣改訂では、イングランド銀行が広く国民に画家や文化人の中から投票してもらって選んだそうです。それくらいイギリスでは人気があるんですね。
同時期、日本でも知られています。それは、あの夏目漱石の「坊ちゃん」の中に、ターナーがでてくるくらいです。それは、坊ちゃんと赤シャツと野だいこの三人で釣りに出かける下りです。少し紹介しますね。
「向こう岸を見ると青島が浮いている。これは人の住まない島だそうだ。よく見ると石と松ばかりだ。なるほど、石と松ばかりじゃ住めっこない。赤シャツはしきりに眺望していい景色だと言っている。野だは絶景でげすと言ってる。絶景だがなんだか知らないが、いい心持ちには相違ない。広々とした海の上で、潮風に吹かれるのは薬だと思った。いやに腹がへる。「あの松を見たまえ。幹がまっすぐで、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」と赤シャツが野だに言うと、野だは「まったくターナーですね。どうもあの曲がり具合ったらありませんね。ターナーそっくりですよ」
つまり、ターナーは、偉大な「風景画の巨匠」なのです。
「風景画」といえば、モネやロランなどが有名ですが、私はモネ以外はあまり今まで観たことがありませんでした。今回は、ふらりと行ってみた、というのが正直なところです。京都文化会館の(別館側の)歴史を感じる廊下を進み、となりの近代的な本館の美術館へ。エレベーターで4階の会場の前までは、まだターナーの気配は感じません。
しかし、会場に一歩足を踏み入れて、まず目に飛び込んでくる「マームズベリー修道院」の前に立ったとたん、鳥肌が立ちました。
これは! その超絶の技法! いや技法で驚いたんじゃないぞ!
空、雲、山や川、海など確かに風景画なんですが、そこに描かれていない 空気の湿度、風、潮のかおり、音、それがほんとに浮かび上がってくるんです。
風景画じゃない! いま 私は そこに居る!
そして画の前で、耳を澄ませ、大きく深呼吸してみる。
私は、カメラの趣味もあって、よく風景を撮りに行きます。何かしら心が動いたものにレンズを向けます。
ターナーは、その心が動いたものを画に切り取るばかりではなく、その超絶な技法で、目に見えないものまで絵の中に閉じ込めたんですね。そう、まるで、優れたバイオリン奏者の演奏を聴きながら情景が浮かんでくるような。
いやあ、これは絶対観ておくべき。おすすめです!!
4月15日(日)まで開催中。
京都文化博物館 (この写真は、別館側から見た旧日本銀行京都支店側)
ここのカフェもおいしいし、いい雰囲気ですよ。