働き方を思う
外資系の会社で人事をはじめて3カ月が経った。
私の会社は、外資系と言っても、トップも外国人だし、使っているシステムも本国のシステムを使っているし、さらに、グローバル企業なので、世界共通のシステム、ITだけではなく、経営システムもまったく本国のそれをベースとしている。
例えば、賞与という考え方はなく、賞与?なにそれ?インセンティブでしょ?てなものなので、賞与さえもゼロもあり得るし、限りなくもらえることもあるし、というくらいだ。
(実際は、人事としては、あまり極端な仕組みは社員を不安にさせるので、日本人の文化に合わせた運用、仕組みを検討中なのだが)
目標設定も作ったものの結局は年度が締まれば結局目標と違った仕事ばかりで(笑)、なんとなく年功やボヤっとした全体の雰囲気で査定されたりする、という日本的?なものではなく、ここでは目標設定自体もいわゆる「契約」とみなされる。これを達成しないと賞与はおろか給与も出ないという、これまた恐ろしいものだ。
ふと思ったのが、シャープは鴻海の傘下に入って、ここまで行かなくてもそれに近いものがあったのだろうなあ、と思ったりする。
そこで求められるのは、成果だ。
その成果を出すために、ものすごく大事なことに気が付いた。それは、成果を出す働き方だ。
日本では、まだ、残業をしてものすごく働くことが評価される。(今、その働き方を見直そうとしているが。)一例が、自分の仕事が終わったら、「仕事が終わりました。何かお手伝いできる仕事はないですか?」と上司や先輩に声をかけることが美徳とされている。(実施、新入社員研修でそう教えてきたぞ)
しかし、今の会社に勤めてみて、目からウロコで気が付いたことがある。
この会社では、「何かお手伝いしましょうか」は、"その人の仕事を奪う”ことになるのだ。
先ほど言ったように、報酬はその人の成果で決まる。
その成果を横取りするようなことをしてはいけないのだ。(言っておくが、その人が成果を出すために、自分の仕事が連携している場合はもちろん協働して一緒に成果を出さなければならないのだが)
他人の仕事に手を出してる時間があるならば、自分の仕事を完璧に終わらせて、次の目標に向かわなくてはならない、そんな考え方なのだ。
日本的な昔の「村」をベースにした経営のありかた、すなわち、トップマネジメントとボトムマネジメントが上手くかみ合った組織運営、一方で、トップマネジメントに一人ひとりの目標、KPIを密接に結びつけた組織運営。
この違いを体験して毎日ワクワクしている自分がいる。
どちらが良いとかいう話では決してない。
ただ、シンプルで自分の仕事に集中する。(そう簡単ではないけどね)
今まで、25年近くコテコテの日本企業に勤めてきたが、この歳になって、こういう文化の中で働くことって、とても新鮮だし、自分の腕で稼いでいるっていうか、考え方がシンプルで性に合ってると思う。
というより、ここでの経験は、いまHRTecnoで研究を続けている「新たな人事制度」にとって、私に重要なことを示唆してくれると思う。
【なぜ、あなたの仕事は終わらないのか 中島聡 著】
この本はマイクロソフトでウィンドウズ95を開発した日本人技術者 中島聡氏の著書である。ここでは、中島氏が歩んできた道での仕事への取組み方だけでなく、ビルゲイツの仕事への考え方、経営なども紹介されている。まさに、成果を出すための働き方、いや、もっと深い仕事への姿勢を学ぶことができる。
いま、仕事をがんばっている人はもちろん、来年就職が決まった君、いま正に就職活動を始める君に読んでもらいたい本です